kml:
todeskingこれは真逆なんじゃないの?という指摘をしたレポートをSchneierが紹介してたな。つまり「メッセージを発信する手法」としてテロは有効性が無い、という。有効性が無いから効率は高いかもしれないけど意図する結果は得られない。以下、以前書いた内容を転載。まだ書きかけだけど参考まで。
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カルフォルニア大学政治学科で博士課程に在籍するMax Abrahmsがハーバード大学行政大学院にあるBelfer Center for Science and International Affairsでリサーチ・アソシエートとしてテロリズムについての研究を行った際に執筆した論文で、その名も”Why Terrorism Does Not Work”。
http://www.mitpressjournals.org/doi/pdf/10.1162/isec.2006.31.2.42
Abrahmsはこれまでの政治学におけるテロについての言説に疑問を持つ。Terrorist groups attack civilians to coerce their governments into making policy concessions, but does this strategy work?(International Security 31:2 p42)テロリスト集団は特定の国家の市民を攻撃し、彼らの政府に対して政治的譲歩を行うよう強要する。しかし、この方法はそもそも有効なのだろうか。彼はこのテーゼが果たして実証データに基づいた指摘であるかを疑問視する。そもそも、テロが強制手段として有効であり、テロを行った集団が政治的目的を達成したかを立証するためにこれまで十分な実証データが用いられたことはなかった(p42)。
To date, political scientists have neither analyzed the outcomes of a large number of terrorist campaigns nor attempted to specify the antecedent conditions for terrorism to work.(International Security 31:2 p43)The notion that terrorism is an effective coercive instrument is sustained by either single case studies or a few well-known terrorist victories, namely, by Hezbollah, the Tamil Tigers, and Palestinian terrorist groups.(International Security 31:2 p45)そこで彼は2001年以降米国国務省によってFTO(Foreign Terrorist Organization)と認定されたテロリスト集団のうち28集団の状況を基に集計を行い興味深い2つの発見をしている(p43)。
- これら28集団の42個ある政治的目的のうち、部分的にでも成功したのは僅か7%であり、その成功度合は標的選択に依存している。
- テロリスト集団がどのような政治的目的を持っているかに関係なく、軍事関係者ではなく市民を標的としたテロが行われた場合、その目的が達成されることは無い。
つまり、彼らはその政治的目的を達成することが極めて少なく、その成功率はテロの手段そのものに依存しているらしい、のである(p43-44)。
彼はまずテロリズムを
- 政府に対しその政策を変更するよう強制するstrategic terrorism
- 金銭や囚人の取得を目的としたredempive terrorism
に分け(p46)、前者のみをリサーチ対象とする。後者は政府の政策変更を要求しないからである。また、テロ攻撃が行われた影響を
- テロ攻撃の実施によって発生した物理的な被害の度合であるcombat effectiveness
- テロ攻撃そのものの成功の如何に関係なく、政治的目的の強制的変更を実現できたかを計るstrategic effectiveness
の2つに分け(p46)、後者がどれだけ実現できたかを検証する。前者は物理的被害を発生させるものの、テロリスト集団が目的とする政治的目的の達成とは関係がない副次的影響とこの論文では捉えているからだ。また、この研究ではテロリズムが対象政府の政策変更を実現できたかを測ることを目的としているため、たとえば国際的な注目や協力を集めるといった中間的な目標は除外している(p47)。
テロの成功度合を測るスケールとして以下の4つを採用している(p48)。
- total success:テロリスト集団の政治的目的が完全に達成された状態
- no success:テロリスト集団の政治的目的実現への前進が全く無かった状態
- partial success/limited success:上記2つの中間にある状態を影響の度合いによって定義
p49とp50に、テロリスト集団のリスト、目的、標的(軍事関係者/市民)、結果のテーブルがあるのだが、そのほとんどはNo Successで、特に標的が市民となっているものは全ての結果がNo Successとなっている。
28集団の42個ある政治的目的のうち、total successあるいはpartial successであったものが3件で、割合にして7%。limited successを加えたとしても17%の成功率、である。経済制裁の成功率は34%であることを考慮すると、この割合はあまりにも低い(p52)。テロリズムは強制手段として有効ではない、ということになる。「(テロ時に提示された)目的を達成する手法」ではなく、「メッセージを発信する手法」ないし「社会に何かしらの即時的な影響を与える手法」であれば、残念ながら効率的なんじゃないかなぁ。